反復する生き物

基本的には好きな本を何回も読んだ感想と考察あれこれ(ときどき別コンテンツあり)。上部はこれから読む方、下部はもう読んだ方向け。読まずにネタバレのみ希望の方向けでは無いので、ご注意を。

二人は底辺

二人は底辺

小西明日翔(一迅社・ZERO-SUMコミックス)

 

雑誌掲載は2015年。『来世は他人がいい』連載開始前ですが、この話がベースではなく、『来世は他人がいい』のスピンオフ的な位置づけということでいいと思います。

どうやら掲載雑誌以外では紙媒体は無い模様です。

私はコミックシーモアで迷わず200円で購入しました。

 

【あらすじ】

ヤクザの組長の孫娘・吉乃は13歳。同じ中学に通う翔真を祖父の蓮二が面倒を見ると言い出して…

 

『来世は他人がいい』の吉乃と翔真の出会いの物語です。

2人が「家族」になった経緯が分かります。

 

【感想】

「これを読んでいるので私は吉乃×翔真派」という方もレビューで見ましたが、私は霧島派から少しもブレませんでした(笑)

「二人」というのは勿論吉乃と翔真。クズ親を持ってめちゃくちゃやっている翔真はともかく、吉乃も「底辺」なのか?と思いますが、ヤクザの家に生まれたことで友達1人いない吉乃の孤独が『来世は他人がいい』より色濃く描かれています。

でも性格は今と全く変わりません。吉乃も十分ブレない人。13歳だから少年院に入るくらい、と怒りながらも冷静だったりもして。

翔真にとっては人生が一気に変わる出会いでしたが、吉乃にとっては学校での孤独感から救われたものの、人生が変わるまではいかないというところが、本編の2人の関係と気持ちに現れているのかなと思えました。

短いですが『来世は他人がいい』を読んでいると内容が濃く感じます。後から読むのがお勧めです。

 

二人は底辺 (ZERO-SUMコミックス)

二人は底辺 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

◆反復読後の小部屋◆※既読推奨

予告通り(?)翔真に触れます。

親がクズのネグレクトなので、見事にグレています。綺麗な顔して大阪弁、今より凶暴な感じですが、まだ刺青は無く。最初は吉乃にも「ウザい」言っちゃう。

でも翔真は多分、このシリーズの中では珍しくまっとうな思考回路の持ち主なので、吉乃のまっすぐな気持ちに心が動いて素直になる。可愛い。

本編2巻のラストから読み取れますが、恐らく「吉乃のために命を張る」(明言はしていないけど)人に、ここでなったのでしょう。

でもそれが単なる恋愛感情かというとちょっと違う気がします。

これ読むまで恋愛感情だと思っていたのですが、もう崇拝というか、無償の愛というか(もっと適切な表現がある気がする。語彙力無くてごめんなさい)

霧島を認めないのは、自分が吉乃を好きだからではなく、吉乃を託せる男だと思えないから。

単なる恋愛感情なら、結婚するために上京なんて簡単にさせなかったでしょうし。

一件の後、年下の吉乃に対して敬語になり、5年経って今も続いているところにも、崇拝の念に近いものを感じました。

この先吉乃の気持ちがどうなっても一生霧島とは仲悪そうですけどね(笑)

刺青も虎と龍だし。まさに「竜虎相摶つ」です。