死役所4巻
あずみきし(新潮社・バンチコミックス)
今巻の表紙は、シ村さん1人。
しかもいつもの張り付いた笑顔ではなく、髪型も違い、生前のシ村さんだと分かります。
メインになる物語もシ村さんの生前を知る人が主人公です。
前巻最後で登場したミチルちゃんが読者の気持ちになって動いてくれます(笑)
【各話サブタイトル・主人公】
・吊るす者 吊るされる者
→杉。拘置所の刑務官。
・堕ちる
→本堂千裕。平凡な専業主婦。
・人を殺す理由
→坂浦真澄。若き食堂店主。
・シ村さんの過去
→死のエピソード無し。三樹ミチルの成仏までの話。
【感想】
「吊るす者 吊るされる者」で始まり、「シ村さんの過去」で終わる今巻。
シ村さんの拘置所時代から始まり、シ村さんの罪と思いが少しだけ分かるところで終わっています。計算して連載されていたのですね。
成仏しないとダダをこねて、やかましく面倒くさい女の子のミチルちゃんが全話に登場。
ウザいキャラクターだなと思っていた方も多数いたと思いますが(私もその1人)、実は、素直に泣いたり怒ったりできて、自分の死をきちんと受け入れている凄い女の子でした。
49日過ごして彼女が職員たちにかけた言葉は、どう彼らの気持ちを動かしたのか。
地味に先にも繋がる重要人物だったんですね、ミチルちゃん。
今巻は死者のエピソードよりも、シ村さんの謎とミチルちゃんの死役所での49日に注目です。
◆反復読後の小部屋◆※既読推奨
今回、シ村さんの話に挟まれた死者のエピソードは、危険ドラッグと受刑者の逆恨み殺人という、何度読んでも何とも後味の悪い話。
これぞ『死役所』という感じですね。
どちらの話も残された遺族を気にさせる書き方になっていますが、遺族については全く描かれず。
描かず考えさせる。これもまた『死役所』
「堕ちる」の遺族は、この先社会的に辛いだろうな…あの感じの旦那さんでは普通に奥さん恨みそう。
(そしてそれが普通に腹立たしいです)
「人を殺す理由」は、真澄さんが周りの人に愛されていた男気ある良い旦那さんなので、奥さんも周りの人に支えられながら、逞しく子供を産んで育てて欲しいと思うばかり。
2巻の「男やもめ」は、襟川家の旦那さんの話ですが、途中で先に亡くなった奥さんの死役所での様子も描かれています。
既出の主人公の遺族を主人公にした物語とか、今後出てこないかな…と、今巻を読んで思いました。
それなら、1番読みたいのは3巻の「カニの生き方」の高関かな。もう1度会いたい。
でも高関は長生きしそうだし、佐尾もあっさり成仏しているから、物語にならないか。ボツですね。