反復する生き物

好きな本を何回も読んだ感想と考察あれこれ。上部はこれから読む方、下部はもう読んだ方向け。読まずにネタバレのみ希望の方向けでは無いので、ご注意を。

死役所13巻

死役所13巻

あずみきし(新潮社・バンチコミックス)

 

待ちに待った13巻の発売でしたが、多忙によりしばらく放置でした。。。

今回は予想通りシ村さんの過去が丁寧に語られますが…その内容は、これまでの伏線からの推測の斜め上をいくものでした。ここまでを予想できていた読者の方っていらっしゃるんですかね?

あずみきし先生、凄いです。

  

【各話サブタイトル・主人公】

今巻は死者のエピソード無し。サブタイトルは全て「幸子」

 

【感想】

ネタバレ無しで書くのは、いつにも増して難しい巻です。

前巻、訪れた冤罪の死者(「夜ノ目町爆弾事件」金子行亮)に請われて自分の過去を語ることにしたシ村さん。サブタイトルは奥さんの名前、そして巻末に至っても昔語りは完結しない!14巻に続くという、なんとも言えない巻になっています。

結論からいうと、大筋の私の予想は合っているようです。ただ、その経緯やきっかけ、奥さんの人柄等、背景は全く予想と違いました。平たい言葉でいうと、もっと「平凡」というか「普通」だと思っていたので…。作り込みが凄いです。さすがあずみきし先生。

「加護の会」に行こうとするくだりで、娘の美幸ちゃんが病気ということは予想がついていましたが、物語によくある命に関わる難病や重病という類のものではなく…病気…いや、難しいところですが、昔の時代ということもあって、正しい診断は下されていないでしょう。それがまた悲劇(といえると思う)に繋がったように思います。

この「病気」であること自体は、この家族にとっては不幸ではなかったはずだから…

しかし、生前のシ村さん、10巻「しるし」でも出てきたように、真面目そうな公務員さんだったようだし、もう少し違うキャラクターを想像していました。いや、真面目な公務員さんに間違い無いのだけど、もっと普通というか…あのような幸子さんを妻に選び、娘の発育も大らかに心配しないタイプとは思わなかったです。

…ネタバレ避けた感想となると、難しいです。

というわけで、小部屋に移動します。

 

死役所 13巻: バンチコミックス

死役所 13巻: バンチコミックス

 

 

◆反復読後の小部屋◆※既読推奨

ついに語られたシ村さんの過去。待っていましたと言いたいところですが、あまりいい話ではなさそうに感じていたので、読むのが怖かったのも事実。

奥さんの消息は分からず、娘さんは死に、自分は冤罪で死刑。その影に「加護の会」。いい話なわけがありませんよね。

でも、何かが明らかになるのかと思いきや、謎はますます深まるばかりだった昔語り…

・なぜ加護の会は幸子さんを隠したのか?

・なぜ美幸ちゃんは殺されたのか?誰が殺したのか?

昔語りのメインは、シ村さんが妻・幸子さんとどう出会って、結婚して、授かった娘・美幸ちゃんとどういう生活を送ってきたか、です。シ村さんが、殺された美幸ちゃんの遺体を発見するところで、今回は終わります。

既巻を読んだ時点で疑問だった上記2点は、結局分からず。

シ村さんが犯人だと思われたのは、多分虐待を疑われたからでしょう。美幸ちゃんを預かってくれていた近所のおばさんは、美幸ちゃんがろくに食事を与えられていないと思っていた節があるので。

そして、恐らく一番の大きな謎は、「加護の会」です。

7巻の修斗くんの時の「お父様」は蓮田栄山ですが、この頃はその父親の代だったらしく。40年くらい前の話になるのでしょうか…

病気なんて気にせず

沢山愛してあげなさい

それが一番の特効薬です

蓮田父・栄徳の言葉。

その人の本来の姿を否定するのではなく

あるがままを受け入れるのです

それが心の解放に繋がります

若き日の蓮田栄山の言葉。

どう捉えるかにもよるとは思いますが、良いこと言っているように聞こえるのですよね。我が子の発育を気にする親にとっても。

でも、加護の会信者の修斗くんによると、幸子さんは美幸ちゃんとも離れ離れにされて、「特別な加護」(7巻・「加護の会」参照)を受けることになった様子。 

果たして、加護の会は「善」か「悪」か。どのような真意を持つ団体なのか。次巻でこそ明らかになりますかね…