下町ロケット ゴースト
池井戸潤(小学館)
3年前、放送したドラマが好き過ぎて、放送中に追い越して原作を全部読んだ過去あり。
映像OKから入ったので、読んでいると脳内で阿部寛さんたちが動いて喋ります。
そこは今作も変わりませんが、新しい登場人物が出てきますので、その人たちをどなたが演じるのか気になって仕方ないソワソワした状態でした。
【あらすじ】
大口取引先の一つから、取引の見直しを告げられた佃(つくだ)製作所。大きなピンチの最中、経理部長・殿村(とのむら)の父親が倒れる。実家に戻った殿村を訪ね、実家の農家を目にしたことから、佃は新たな夢を見出していくーーー
ー 宇宙(そら)から大地へ ー
今回の佃製作所は、訪れたピンチにより、技術者たちの類いまれなる努力により高品質を誇ってきた方針の転換を迫られるという、ちょっと聞くとファンには受け入れ難い展開。
でも読んでいくと、「ああこういうことだったのか…」と佃製作所と一緒に目から鱗です。
トノさんの家庭の事情や帝国重工の社長交代に伴うあれこれ等、レギュラーメンバーのエピソードも豊富ですが、今回のサブタイトルは「ゴースト」です。
冒頭の登場人物紹介で、「ギアゴースト」という会社名があり、勿論ここが焦点になっていきます。
【感想】
何故「ゴースト」なのか。今回も読み応えたっぷりでした。
でも、明らかに続きがあるという終わり方でしたね。
今までの2冊は1冊でそれなりに完結した感があったのに…
次作は『ヤタガラス』。9/28に発売することがもう予告されていますので、タイトルは違えど、今回はこの2冊で上下巻という感じなのでしょう。
このシリーズの気持ち良いところは、善悪がはっきりしていること。勧善懲悪であること。
本当の勧善懲悪は『ヤタガラス』に持ち越しのようですが…
主要人物たちは、それぞれの思いを胸にそれぞれの道を歩き始めたところで、今作は幕を閉じます。
でもきっと、またお互いの道が重なることを切に願います。
次作は何故『ヤタガラス』なのか、そして誰が主人公の物語なのか。『ゴースト』の途中でそれが想像できます。
ますます次作が楽しみです!早く発売しないかな!!
◆反復読後の小部屋◆※既読推奨
ドラマも大好きな私にとっては、今回から登場する主要キャラクターはどなたが演じるのかということがこの上なく重要だったのですが…
・伊丹大→尾上菊之助
・島津裕→イモトアヤコ
・軽部真樹男→徳重聡
それぞれ演じている写真が公式サイトに掲載されていますが、良い感じです。
特に今回は「ゴースト」ですから、伊丹と島津の物語でもあります。
過去は辛くて、今はキラキラしていて、曲げられない信念を胸に、切なくも未来に歩き出すこのコンビをどうやって演じてくれるのか、非常に楽しみです。
普通に尾上菊之助さんがめちゃくちゃ格好良さそう。。。
『ガウディ計画』の椎名直之(小泉孝太郎)のような、蛇足は頼むからつけないで欲しい。
軽部は「徳重聡」の文字を見た時、大丈夫か?と思いましたが…
だって、役者さん自体のイメージが「爽やかイケメン」じゃないですか。軽部は絶対そういう感じじゃない。
でも、公式サイトで軽部を演じている徳重さんの写真を見て納得。恐ろしく地味で、極めて無愛想な感じが滲み出ています。
ここまで普段のイメージとオーラを消せるものかと、俳優という存在の凄さを改めて感じさせられました。
そして軽部は実は男気に溢れた役なので、イケメンが演じることで、グッとくるシーンがあるんじゃないかなとかも思うわけです。←完全女目線
実際に放送を見るのが楽しみです。
あと、切にお願いしたい。
竹内涼真くんだからといって、洋介を必要以上に目立たせるようなことはないように…
洋介は良い役だし、今回も重要な働きをしてくれますが、今回は伊丹と島津、そしてトノさんの物語なので。
原作に忠実に、テレビ向け脚色は極力ナシでお願いします。
『ガウディ計画』はちょいちょいありましたから…
許せない人、私の他にもいたんじゃないかと思うんだけどな。
『ヤタガラス』まで読んだら振り返ってみようと思います。
あと、まだ今現在明かされていませんが…
ダイダロスの重田登志行は誰が演じるのか。
これ重要。
伊丹の真のパートナーは、シマちゃんなのか重田なのか。
伊丹はデキる男ですが、実はこの2人よりも多分ずっと脆くて弱い人。
正か負か。どっちが伊丹をどっちに連れて行くのか。
決着は『ヤタガラス』でつきますか?