反復する生き物

好きな本を何回も読んだ感想と考察あれこれ。上部はこれから読む方、下部はもう読んだ方向け。読まずにネタバレのみ希望の方向けでは無いので、ご注意を。

死役所1巻

死役所1巻

あずみきし(新潮社・バンチコミックス)

 

ネット広告がきっかけで購入して、本気でハマった初めての作品じゃないかと思います。

1話完結型でサクサク読めるのに、各回の主人公と関わりながら物語と設定を固める主要人物それぞれのキャラの立ち方と、ストーリー展開が凄い。

あっという間に11巻まできましたが、まだまだ謎は残っているし、目が離せません。

12巻は今年の冬の発売予定なので、その前に1巻から振り返ります。

 

【あらすじ】

人は死後、天国か地獄かへ行くことになる。「死役所」はその裁定を受けるための手続をする機関。現世の市役所と同じように職員が就業し、死者を迎え入れ、送り出す。しかし実はその職員たちはーーー

 

主人公は、「死役所」総合案内のシ村。いつも貼りついたような笑顔で、慇懃無礼ともいえる態度。

そのシ村を中心に、特徴的なキャラの職員が何人も登場します。

職員は全員苗字のどこかに「シ」がつき、カタカナ表記です。

 

【各話サブタイトル・主人公】

・自殺ですね?

→鹿野太一。いじめを苦に自殺した中1男子。

・命にかえても

→上杉涼子。前科持ちのため就職に苦労する若い女性。

・あしたのわたし

→小野田凛。母親がネグレクトの5歳の少女。

・働きたくない

→江越伸行。小学生を無差別殺人した死刑囚。

 

【感想】

各話主人公は、「死役所」に来ているわけなので、全員死んでおり、その死のそれぞれのエピソードが語られる漫画です。

無念や心残りが全く無く死んだ人間なんて殆どいないわけで、基本的に後味の悪い話が多いです。

それでも面白いと思ってしまうのは、この超現実的な設定の中で、死のエピソードの理不尽さこそリアルに感じるから。

綺麗事だけでは語れない人の死。

そして世に出る漫画ですから勿論、死のエピソードは単なる老衰や事故ではありません。社会の問題や闇がたっぷりです。

写実的ではない画風の絵が、死者たちの目を通して、社会の闇を淡々と語っていきます。

そう、「語る」なんです。「斬る」ではない。

もしかしたら作者さんもこういう問題について、言いたいことがあるのかもしれません。ただ、作品からはそれを読み取れない。主張することなく、題材として取り上げることで、読者に考えさせてくれます。

だからこそ読みやすいし、怖くもある。それが人気の理由かと思います。

 

今巻で一番好きなのは、結局「自殺ですね?」

なんだかんだ書きましたが、やっぱり勧善懲悪で、救いのある物語はホッとします。

太一のお義父さんの気持ちを思うと、涙が出てきます。

血が繋がっていても「あしたのわたし」のようなクソ親もいるので。

この2つが1冊に入っているのも見事な対比。

 

死役所 1巻 (バンチコミックス)

死役所 1巻 (バンチコミックス)

 

 

◆反復読後の小部屋◆※既読推奨

振り返ればまだ1巻なので、シ村さんたち職員の物語としては、まだまだ序章に過ぎないわけですね。

「職員」=「死刑囚」ということが明かされたくらいなので。

結構みんなそう思うんじゃないかと思うんですが、イシ間さんが一発で好きになりました。

…ん?イシ間さんも死刑囚!?なんで?

どこか不気味なシ村さんと、冷めた感じのニシ川さんはともかく…

どうしてもその疑問が消えず。気になる。

 

と、実はなかなか重い作品ですが、シ村さんとイシ間さんの掛け合いは面白い。

子供が来るような所じゃねーんだよ…ここはよー

 

お年寄りはどんどん来いということですね?

 

そうは言ってねーよ  

シ村さん極端過ぎるだろ(笑)