死役所6巻
あずみきし(新潮社・バンチコミックス)
ついに既巻半分までやってきました。
今回の表紙はニシ川さんなので、勿論ニシ川さんの過去が語られます。
その他、気弱な職員・岩シ水くんや、シ村さんの背景も少しずつ見えてくる、先に繋がる1冊となっています。
【各話サブタイトル・主人公】
・彫刻さん
→「彫刻さん」(本名不明)。元サラリーマンでホームレス。
・手羽先
→山中紗世。美人OL。
・愛する人
→花平妙子。自殺課職員・ニシ川に殺害された被害者遺族。
【感想】
本当にこの漫画は、ちょいちょい型に嵌まらない描き方をしてくれるものだな、と。
「彫刻さん」は、本名が出てくることはなく、ホームレスのために奔走する市役職員・広本さん目線でストーリーが進んでいきます。でもやはり主人公は「彫刻さん」。
広本さんは、ホームレスであることを「因果応報」と受け入れる穏やかな中年男性の、最後に見た希望。
お役所仕事しかできないと批判されそうな現世の市役所ですが、実は広元さんの上司の山田補佐も良い。ストーリーにそこまで関わってはこないのですが、良い救いになっています。
そしてニシ川さんの物語も、イシ間さんやハヤシくんの時とは違い、本人目線ではなく、被害者遺族の目線という斬新さ。
そのせいかニシ川さんの殺人動機はこの物語からはきちんと見えてきません。
イシ間さんもハヤシくんも、自分の殺人に罪悪感や後悔は無いけれど、自分の罪とは向き合っていこうとするようになっていますが、ニシ川さんはどうなのでしょう。
◆反復読後の小部屋◆※既読推奨
花平さんがやってきたことで、シ村さんはいつもの笑顔とシ村節ですが、ニシ川さんの過去に結構ズカズカ踏み込みます。珍しい。
ニシ川さんが殺人を犯したことがあの方の病死に繋がったとすると
ニシ川さんの間接的殺人ということになるのですかねぇ?
ニシ川さんは「嫌味甚だしいですよ」と、バッサリ斬り捨てますが、その後も花平さんの孫の話をしたり、なかなかしつこい。
それでもマイペースでポーカーフェイスのニシ川さんですが、イシ間さんに
…よく ああも嫌味が言えるもんですよね
自分だって人殺しのくせに
と、ぼやきます。
本当に痛いと思っていたかはさておき、流石のニシ川さんも気になってしまった様子。
シ村さんはシ村さんで、イシ間さんやハヤシくんの気持ちにはどことなく寄り添うような言動もあったものの、ニシ川さんには一切同調していません。
ストーリーとしてはミチルちゃんが4巻で暴きましたが、シ村さんは恐らく唯一、この死役所で殺人を犯していない人。冤罪です。
そして、2巻のラストの絵(子供と思しき遺体の前に立ち尽くすシ村さん)と4巻のラストでミチルちゃんに呟いた言葉
真実を確かめ…
…妻を…私の手で…
から、巻き込まれてしまったであろう殺人事件の真相を追うために死役所に留まっていることが推測できます。しかも奥さんにも何かあった模様。
皆と普通に接していますが、本当は殺人を許せない人間ということなのでしょう。
そして、シ村さんの過去を覗いたニシ川さんは、この先シ村さんの謎を解くキーワードになるであろう「加護の会」という言葉を見つけます。
でも、ニシ川さんは「面倒くさそう」で片付けていましたので、謎解きはここでおしまいです。
今後に乞うご期待ということですね。