死役所11巻
あずみきし(新潮社・バンチコミックス)
ついに最新巻までやってきました。
次巻は今年の冬とのことです。巻末の予告には、また社会の問題が題材と思われる描写がありました。
今巻のメインになる物語は、裁判員裁判にスポットが当てられています。
いつものことですが、描き方が秀逸です。
そして職員さんサイドでは、滑舌の悪い松シゲさんの存在感が増していました。
【各話サブタイトル・主人公】
・裁きの先に
→坂東一早。40歳測量士。
・自責
→猪俣。右足が不自由な中年男性。
・ハロー宇宙人
→中島詩。家庭に居場所を見つけられない女子中学生。
【感想】
まず一言。
あの裁判員は何をどうしたいのだ。
普通の人は被告サイドにはつかないと思うのだけど。
若い女性に恨みでも?それとも皆が思いも寄らない方向に判決を持っていきたいとか?
人の良さそうな顔したおじさんでしたが、どうしてもよく分かりませんでした。
そのせいもあって今回の主人公は犯罪者で終わってしまったのが、ちょっとやるせないです。本人が自分の性格と死を受け入れているのがせめてもの救いのような…
後味が悪いです。
被害者の女の子の心に、一早さんの声が届いていますように。
そして被告の大学生が普通に気持ち悪い。何がイケメンだ。
あとは各話のエピソードに特別な思い入れはありませんが、「ハロー宇宙人」の最後の松シゲさん。
ただの滑舌悪いおじさんではなく、温かいところもある人の模様。
詩ちゃんに諭してあげるところをハシ本くんがじっと黙って聞いていました。
また何か心境や考え方に変化があるでしょうか。
12巻は今年の冬発売予定です。
◆反復読後の小部屋◆※既読推奨
「自責」の途中で、死役所に来たばかりのシ村さんのシーンがあります。
勿論気になったのは、「娘の死」というワードです。
一緒に行ってみましょう!
少しでも美幸がよくなる可能性があるなら懸けてみたいの!
お願い正道さん!
『加護の会』…
わかった…
という奥さんとのやり取りは7巻。
美幸ちゃんというのがシ村さんの娘さんのようですが、亡くなったということですね。
では、2巻のラストでシ村さんが見下ろしていた遺体の女の子は…
ここからは想像ですが。
重病だった美幸ちゃんが助かるように、藁にもすがる思いで奥さんは「加護の会」を頼ろうとする。
シ村さんも承諾したが、美幸ちゃんは誰かに殺されてしまう。
真犯人は捕まらず、シ村さんが冤罪で逮捕され、死刑。
シ村さんは娘の事件の真相と奥さんの消息を知るため、成仏せず死役所に留まる。
…といったところでしょうか。
この真相が分かるのは最終巻でしょう。でもその前に、ハシ本くん・松シゲさん・加賀シロさんあたりの物語もありそうだし、ハヤシくんの成仏もありそう。
まだまだ続きそうなので楽しみでもあります。